カープファンとして、日本一早く鈴木誠也にサヨナラを告げる

うちらの四番は天真爛漫だ。

勝負を避けた四球に不貞腐れてバッティンググローブを投げ捨てたかと思うと、雨天中断中のベンチでドミニカンに鼻毛を飛ばしておどける。
スタメンムービーの変顔で観衆を爆笑させたかと思うと、打席では鋭い眼差しで会心の一発を放ち、お立ち台で「最高でーす!」と弾ける笑顔で叫ぶのだ。

育成のカープの最高傑作

育成至上主義のカープにおいて“最高傑作” とされるのが鈴木誠也だ。

2012年度ドラフト会議で2位指名。高校時代は投手として甲子園を目指すも叶わず。走力と打力を買われて入団した。プロ入り後は内野手に転向もチーム事情や適性を踏まえ、外野にコンバートされ現在は右翼が定位置となっている。

↑これは鈴木誠也ではない

高卒1年目の2013シーズンから一軍デビューを果たし、翌年以降も順調に成長。

2016年にレギュラーを奪取すると、例の「神ってる」サヨナラ2戦連発(&3戦連続決勝本塁打)で、大器の片鱗を見せつけ、打率.335/29本塁打/95打点/OPS1.014という堂々たる成績でカープ25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。

2017年、開幕直後に4番に抜擢されると、時に打てない歯がゆさを態度に出しながらも重圧をはねのける活躍でチームを牽引。8月にvs DeNA戦で右足首を負傷して戦線離脱するまで打率.300/26本塁打/90打点/OPS.936という成績を残す。

2018年は開幕から4番。前年の負傷の影響で、足首にボルトを埋めたままシーズンを戦い抜くが、打率.320/30本塁打/94打点/OPS1.057という目覚ましい活躍で、リーグ3連覇に貢献。1勝4敗1分けで敗北したソフトバンクとの日本シリーズでもひとり気を吐き、打率.455/3本塁打。敢闘賞を受賞した。

「神」から「神ってる男」へ“聖域”の継承

この年のオフ、背番号51 → 1 への変更が発表される。カープファンに“神”と呼ばれた前田智徳が背負った聖域ともいえる「1」の継承にも異議を唱えるファンは少なく「誠也であれば相応しい」といった声が大勢を占めた。

特別な番号を背負って挑んだ2019シーズン、様々なチーム事情が重なりカープはリーグ4連覇を逃すが、誠也は背中の数字に恥じない躍動を見せ、自身初のタイトルとなる首位打者と最高出塁率を獲得。最終成績は、打率.335/28本塁打/87打点/OPS1.018。

シーズン終了後の10月に行われた「第2回WBSCプレミア12」ではJAPANの4番を務め、打率.444/3本塁打/13打点という大活躍でチームを優勝へ導き、大会MVPを獲得した。

そして去り行く誠也かな

ざっとおさらいしたけど、誠也ってやっぱり凄い! 凄すぎる!
残した数字も凄まじいけど、勝負強くて華がある。劇的なサヨナラHRや決勝打の数々、守備でも鳥肌が立つようなレーザービームを披露するし、走れば日本シリーズで本盗を決めたりする。

記録にも記憶にも残るスーパースター。
今やJAPANの四番でありNPBナンバーワン選手との呼び声も高い。
NHKでキャスターを務める超可愛い元スポーツ選手を射止めたこともあり、野球ファン以外にも存在を知られ、知名度は全国区。広島のローカルスターの域を完全に超えちゃった。

けどね、私たちにとって誠也はあくまで「うちらの四番」。

黒田さんにはビビッたくせに (゚∀゚ )

黒田さんに水を掛けようとしたけど、結局ビビッて自分で頭から被ったり、デタラメ英語のヒロインで若干スベったり、大切な結婚式で新郎新婦揃って赤いユニフォームを纏ってくれる、ヤンチャで可愛くて、けど誰よりも頼りになる「うちらの四番」なのです。

が、きっと間もなく間違いなく、彼はチームを去り広島の街を離れます…。

2020年元旦。日刊スポーツに掲載された「新春インタビュー」において、誠也はメジャー挑戦への意思を公言しました。

-メジャーに興味は

もともとは興味はなかったです。でもやっぱり上を目指していく中で、そこでやりたいなという気持ちも出てきている。チャンスがあればやりたい思いは常にある。そこに今僕の目標が来たかなという感じ。そこで頑張りたい思いが常にあったからこそ、妥協せずに自分に厳しく今まで来られた。そういうチャンスがあれば…行きます!!

日刊スポーツ

実はそれ以前の2016年12月、山口県周南市で行われたトークショーでもメジャーへの興味を明かしています。

興味はあります。いま行きたい、というのはないですけど、野球をやっている以上は、上の世界に興味はあります。

サンスポ.com

NPB最強打者となった誠也は、シーズンを通してまともに勝負してもらえる打席はほとんどありません。日本で心が震えるような勝負ができなくなったのなら、新しい目標とモチベーションを別の場所に求めるのは必然。

かつて「本当はメジャーになんて行きたくない」と言いながら渡米したダルビッシュみたいに、傑出してしまった選手の宿命ともいえる軌跡。

誠也が海外FA権を取得するのは2023年オフ(29才)。マエケンや菊りん(移籍なし)の例に倣えば、前年の2022年オフ(28才)に、ポスティングシステムを利用して海外移籍へ踏み切ることが予想されます。

恐らく今年行われる五輪でもJAPANの四番を務める誠也。きっとそこでも暴れ回るでしょう。
そしてメジャースカウト陣の熱視線を浴びることになり(とっくに浴びてるか…)、ポスティング交渉が始まれば複数の球団が動き、条件面でよほどのギャップがない限りいずれかの球団と契約。メジャーリーガー鈴木誠也が誕生します。

選手がカープを去る時、哀しかったり憤ったり、いろんなカタチがあったけど誠也に対してはワクワクしかありません!

鈴木誠也よ、日本一の選手になってから渡れ

鈴木誠也1番

荒川の野球少年が広島でプロフェッショナルとして花開き、米国へ渡ってメジャーを席捲! こんな展開、別れを惜しむより胸熱でしかないですよね! うん、多少強がりも入ってるけど。

カープ出身で初のメジャー野手。
入団会見ではもちろん黒田さんみたいに「広島東洋カープから来ました」って自己紹介するんでしょ。

英語喋れなくてもゴツいチームメイトたちとすぐに打ち解けそう。
で、やっぱりここぞって場面で会心の一発! メディアやファンのハート掴んで、「say yeah!」みたいなニックネームだかコールだか分かんないけど、そういうのもらうようになるんだろうね。

サヨナラ誠也! ガッツリ覚悟はしてるから大丈夫。

メジャーに染まって噛みたばこクチャクチャしたとしても、誠也はやっぱり「うちらの四番」。声援を贈り続けるよ!

…なんて妄想してたら、今シーズンはまだフツーにカープで応援できることがこの上ない幸せに思えてきた(゚∀゚ )
神宮あたりの小さな球場で、走攻守を間近で見ながら大きな背中に届く距離で声援を送れる幸せを噛みしめて、共に喜び泣き戦い尽くすカウントダウン。

日本一の選手ってどんな選手だと思う…きっとチームを日本一に導く選手だと思うんだよな。

「スラムダンク」第24巻 流川楓のセリフより

誠也、置き土産忘れないでね!

<了>

Profile|プロフィール

凛子
凛子
東京都出身。幼い頃、父親の隣りで野球中継をボーっと眺めてるうちにルールを覚え、父親がボロクソ言いながらも応援していた赤い球団を愛するようになりました。東出ラブなJs時代を経て、ちょっぴり遊びを覚えたJc~Jk~Jd時代は野球への興味が薄れ球団愛も下火に…が、就職を機に真っ赤に再燃。交友関係にカープファンどころか野球ファンが一切いないという環境にも負けず、鯉に恋する毎日を送っています。